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【書評・要約】「漫画 バビロン大富豪の教え」 ジョージ・S・クレイソン 著


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「漫画 バビロン大富豪の教え」

 

 本書の紹介

【基本情報】

題名:「漫画 バビロン大富豪の教え」

著者:ジョージ・S・クレイソン

頁数:466p

出版社:文響社

発売日:2019/10/4

 

【あらすじ】

仕事をクビになり、借金を背負い、妻子にも逃げられた元大学教授で考古学者の大場拓也(たくやん)が、友人の近藤武(こんちゃん)から、バビロニアの発展を支えた「黄金の法則」が書かれた粘土板を解読してほしいと頼まれるところから物語は始まる。たくやんは解読することに最初は難色を示すも、「黄金の法則」を知ることで妻子のいる生活を取り戻すため、解読に挑戦する。

粘土板に記されている物語では、主人公で武器職人の息子のバンシルが、バビロン(バビロニアの首都)の大富豪であるアルカドから与えられた試練など様々な出来事から「黄金の法則」を始めとする学びを得て、成長していく。

 

本書のポイント

以下、多少のネタバレを含むため注意。

 

バビロニアの物語から学べること

<黄金に愛される七つの道具>

バンシルは、父親が借金取りから取り立てを受けているところを目撃し、家族に楽をさせてあげたいと考えた。そこで、金持ちになるにはどうしたら良いかをアルカドに聞きにいき、次の教えを受ける。

①収入の十分の一を貯金せよ

②欲望に優先順位をつけよ

➂貯えた金に働かせよ

④危険や天敵から金を堅守せよ

⑤より良きところに住め

⑥今日から未来の生活に備えよ

⑦自分こそを最大の資本にせよ

 

経済的に豊かになるために重要なのは①~④。

「➁欲望に優先順位をつけ」て、「①収入の十分の一を貯金」し、「③貯えた金に働かせる」仕組みを作っていくこと。そしてその仕組みを作り上げていく段階では、自分の感覚に頼らず、その道に長けた人に相談すること。それにより、「④危険や天敵から金を堅守」することができる。

 

<「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則>

「欲する者の目」をしているバンシルに期待するアルカドは、バンシルに試練を与える。バンシルはその試練の途中で挫折しそうになるが、アルカドから受け取っていた「知恵の袋」の中の粘土板を読み、再度奮起する。その粘土板に書かれていた内容は、先に述べた「黄金に愛される七つの道具」を昇華させた「五つの黄金法則」。

①家族と自分の将来のために収入の十分の一以上を蓄える者の元には黄金は自らを膨らませながら、喜んでやってくるだろう

➁黄金に稼げる勤め先を見つけてやり持ち主が群れを膨大に増やす羊飼いのように賢明ならば黄金は懸命に働くことだろう

③黄金の扱いに秀でた者の助言に熱心に耳をかたむける持ち主からは、黄金が離れることはないだろう

④自分が理解していない商い、あるいは、黄金の防衛に秀でた者が否定する商いに投資してしまう持ち主からは黄金は離れていくだろう

⑤非現実的な利益を出そうとしたり謀略家の甘い誘惑の言葉にのったり己の未熟な経験を盲信したりする者からは黄金は逃げることになるだろう

 

<アルカドの最後の教え>

アルカドの試練を乗り越えて、バンシルがバビロニアに戻った後、アッシリアという国が侵略しに来た。その際にバンシルを庇って死んでしまうアルカドが残す最後の教えが次のとおり。

 

「守るべき者を持つ屈強な壁となれ」

 

守るべき友人・恋人・愛すべき家族など、何か一つ「守りたいもの」を持つことこそが、自分を成長させてくれる礎となる。

 

本書のコラムから学べること

現代における「賢明な投資先」

「外国株式のインデックスファンド」が有効である。

どんな大きな企業でも、変化が大きい現代において1社に集中投資することは手堅いとは言えない。この先1社単位で見れば、株価が低迷し続けてしまったり、下手すれば倒産することもあるからである。そこで、世界経済に分散投資をしようということになる。世界経済は、リーマンショックのような大きな事件が起きるたび、その落ち込みはいずれ回復し、長期で見れば大きな成長を見せており、今後もその傾向は続くものと考えられるからである。

 

お金があれば幸せか?

あらゆる幸福に関する調査で、お金が増えれば増えるほど幸せということではなく、年収800万円程度がピークとなり、それ以上は収入が増えても幸福度は変わらないという結果が出ている。では何が必要なのか?

本書では、「人は人とのつながりを持たなければ幸せを実感することはできない」としている。実際、幸福に直結する健康面のある調査では、「社会的なつながりを持つ人は、社会的なつながりを持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する」という結果が示されている。

お金に固執し過ぎず、外国株式のインデックスファンドに投資する以外の空いた時間は、家族や友人との絆を深めることに使うことが提案されている。

最後に

本書は、「簡単に億万長者!」とか「これをするだけで一発逆転!」といった夢はあるが現実味の薄い内容ではなく、非常に堅実な内容の本であり、きちんと実行すればかなりの高確率で小金持ちにはなれると思う。「難しい話は苦手だな~」とか、「普段本をあまり読まないからな~」という方でも、本書は基本的に漫画で進んでいくため、スラスラ読めるという点でもおすすめである。今回は物語の詳細については触れていないので、興味をお持ちの方は、ぜひご一読いただければと思う。