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【書評・要約】『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』 cis著


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『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学』

 

 本書の紹介

【基本情報】

題名:一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学

著者:cis

頁数:200p

出版社:株式会社KADOKAWA

発売日:2018/12/21

 

【概要】※「Google Books」より

全世界で15万部突破!!「生き方がめっちゃ面白い!」「参考になるけど真似できない、すごすぎて」などなど平成が生んだ最強の相場師のキャラクターに大反響!!フォロワー42万人超え(2020年6月現在)の伝説的デイトレーダー初の著書。230億円稼いだ勝負勘の源泉や「ヘッジは無駄」「不動産投資は罰ゲーム」など独自の投資哲学を開陳。ロジック重視の仮説思考で「一撃19億」「一撃40億」を実現してきた話、「2ちゃんねるで結婚相手を募集」「近くにコンビニがほしくてビルを買う」などスケールが違う話も多々。投資をやる方はもちろん、ゲームやギャンブルにも通じる勝負論で、ビジネスパーソンにも多くの学びがある一冊。

本書のポイント

「一人の力で日経平均を動かせる男」として有名なcis氏。彼は自分のことを「投資家」ではなく、「ギャンブラー」と表現する。そんな彼が、これまでどのように考え、行動して資産を築いてきたのか。本書では、その一部を知ることができる。ここからは、私が個人的に本書のポイントと思う部分の一部を、私なりにまとめて紹介していきたいと思う。

第1章

・株価が上がるのは買おうとする人が、下がるのは売ろうとする人が多いから。明確な理由まではわからないが、多いのには何らかの理由がある。であれば、マーケットの潮目に沿って行動するのが一番勝つ可能性が高い。上がっている株を買い、下がっている株は買わない。買った株が下がれば売る。損切りのラインに数値的な基準はない。得していても損していても、値動きを見て、1時間後に今より下がると思ったら売る。

・多くの人は確率やバランスを意識してしまう。今上がっていて、どこまで上がるかわからないのに、大した根拠なく勝手に反転する予想を立ててしまう。上がっているうちは持っておくのが基本。上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がる。(利益が出ている株の)小さな動きは気にせず、2度目の押し目で売ることが多い。

・少しでも下で買いたいと考え、押し目買いを狙う人が多いが、上がっているものを買い、下がったら売るの基本に反している。上がり続けている株に対して「遅すぎた」と考えるのではなく、これからも上がると考えて買う。下がったら売れば良いだけ。

・人間の本能に従うと、下がった株は塩漬けにし、上がった株はすぐに利確してしまう。しかし、勝つために必要な行動は逆である。上がり続ける株は上がり、下がり続ける株は下がることから、一定下がった株はすぐ売り、上がった株は持っておく。重要なのは勝率ではなく、トータルの損益なので、負け回数は多くても1回が小さく、勝ち回数は少なくても1回が大きくなるように考える。

ナンピンは、自分の失敗を認められずに下がり続ける株を買うという、原則に反することなので良くない。(例外あり)

損切りした株でも、再び上昇し始め、このまま上昇すると考えるときには買うべきである。

・塩漬けは典型的な負けパターン。すばやい損切りはものすごく重要。小さな損は失敗ではなく、失敗は損切りできずに大きな損を出すこと。予想どおりに動かないときは、自分が気づいていない「何か」がある可能性が高く、不自然な動きがあるときは、仕手筋の介入やインサイダー情報による売買があったりする。そういう不自然さを感じたら、基本はすぐに売るべき。すばやい損切りで利益を逃すこともあるが、それでも大けがを避けるために正しい姿勢であると言える。

・大きく儲けるチャンスというのは、人間の感情が大きく揺さぶられるとき。人は喜びや期待より悲しみや恐怖の方が大きい生き物なので、暴騰よりも暴落局面の方がチャンスになる。例えば、リーマンショック等の大きな問題・事件や、大きな災害が起きたときである。

・リスクとリターンの折り合いを意識する。リスクとリターンを比較し、五分五分以下なら勝負してはいけない。上がりそうな理由と下がりそうな理由をどちらも考え、上がりそうな理由が強い場合に買う。

・リスク恐怖症の人は相場には向かない。リターンを求めてリスクを取っているのに、そのリスクを分散させるためにコストを使うのではリターンを薄めるだけになる。

第2章

・世の中でどんなことが起きていて、何が話題か等の経済的な知識も参考にはするが、あくまで重視するのは、実際に今買われているか売られているかということ。好調な業界の企業が好決算を出しても、期待が大き過ぎれば売られることもあり、そのまま下げが続くこともある。そしてこういうことが起こると、その後は関連銘柄も同じことが起こりやすい。

日経平均株価を直接構成する銘柄の下げ気運が続くと、日経平均株価全体も下がりやすい。下げを予想し、日経平均先物空売りするという手もある。

・とにかく仮説を考える。「円安で輸出産業が儲かる」というすでに常識になっているようなものではなく、まだほとんどの人が考えていないけど明確なロジックのあるものや、誰も指摘していないしロジックは不明だけど経験則として明確な関連が認められるものなど。

日経平均TOPIXの構成銘柄になる(決定する)と、株価は非常に上がりやすい。

・出資元や出資先などの関連銘柄は互いに影響を受けやすく、連れ高連れ安が起きやすい。しかし、全然別の業種だったり、一見関連がなさそうで説明がつかなくても、株価が連動することはある。まだ知られていない攻略法が眠っているのが相場というゲーム。

・過去の事例を勉強しても通常時は勝てるようにならないが、過去に起きた異常事態に類似したことが起きた際には、勉強していれば勝てるロジックを思いつくことができる。

・相場では、1匹目のドジョウを得ることは難しいが、マーケットから学習して儲かっているだろうことをすぐやることによって、まだそれなりにいる2匹目のドジョウを得ることはできる。雑誌等に掲載されてしまい、多数の人が知る情報がもとになる3匹目のドジョウは、もういるかいないかわからず、動き出しが遅いと言える。

・「好景気時に、過熱によるインフレを起きないよう、景気引き締めのために金利が上がると、投資家が株から債券に切り替えるため株価が下がる」とよく本などに載っているが、実際は少し異なる。好景気で企業が最高益を更新するのを見て株が買われる際、日銀やFRB金利を上げても、株価はぐんぐん上がる。すぐには落ちない。上がって上がって最高値を更新したあと、ドカンと落ちる。おそらく、大手のファンド等が、この利回りなら債券に行ったほうが得だと判断し、株が大量に売られるというメカニズム。このように、本などに載っている知識は昔のことで、ズレが出ている。

金利上昇局面でも一定期間株価の上昇があると考えるなら、その時は先物を買いながら、現在地から1000円以上安いプットオプションも買うという戦略が良いかもしれない。ただし、みんながそう考えたらうまくいかないかもしれない。

・とあるスマホゲームを運営している企業の株価が、登場キャラクターの誕生日に合わせて上昇するという面白い現象が一時期起きたこともある。

第3章

・多くの人は「安く買って高く売る」という発想でいるため、高い時は買いたくないと思ってしまうが、上がって高値がついたときこそ買う。

・財務分析などして割安だと判断しても、そんなことは周知の事実で、株価はそれを踏まえた価格になっている。その割安に見える価格こそがその銘柄の適正な評価であり、正しいと見るべき。信用される企業はさらに信用され、割安な株はさらに割安になる。割安だと決めつけて買っていけば負け続けるだけである。

・マーケットのことはマーケットでしか学べない。よって、基本はひたすら値動きを見ることで学ぶことになる。

・年金やファンドの買いに乗っかり、一番買われているであろう小型株を買う方法は良い方法である。儲けるには素早く学習および行動することが必要だが、この方法を基本に、値動きが読めてきたら逆張りなど他のこともできるようになる。

・取引する際に見るのは、値動きとツイッター。基本は値動きを見て、あやしい動きがあれば、損が出るとしてもポジションを軽くしてからツイッターを確認する。ニュースはツイッターによる口コミが一番早いので重要になる。

・日本、アメリカ、ヨーロッパの3つのマーケットのうち、時差の関係で月曜に最初に市場が開くのは日本。なので週末に世界的な事件が起こると、日本で最初に影響が現れ、まず大きく売られる。その時は売られ過ぎる傾向がある。こういう時は、90%は逆張りで買っていい(通常時にダウ先物が安くなっているだけの場合は当てはまらない)。逆に、週末にアメリカで好材料が出て、ダウ先物が400くらい大きくプラスしているときに日経平均も爆上げしたら、だいたいすぐ戻るので空売りする。

・すごい量のあやしい売りや買いが出ているときは、インサイダー取引かもしれないと考えてみる。今の時代は情報が漏れやすいので、知らないところで倒産等の悪い話などが広がって、それを知って事前に逃げる人が出るとあやしい値動きになる。実際、インサイダー的なあやしい売買は観察すればかなり見つけることができるので、あやしいと感じたら逃げる。(発表され、ニュースになってからでは逃げれない)

・板に張り付いて観察していると、思っていたのとは違う側面や新しいことが見えてくる。買うのは最低単位でいいので、買って見続けていると学ぶことが多い。インサイダー的な売買も、2週間ほどずっと板に張り付いて観察しているとわかるようになってくる。

・需給がいびつで値動きが激しい仕手株は、デイトレに絶好の素材。仕手株にはすぐ乗って、早めに売ることができれば投資効率が良くなる。

・年金や投資信託や海外ファンド等の機関の取引は、一定の期間に決まった銘柄を何百億円買う(売る)という結論に従い、ディーラーが機械的に取引しているだけの場合があり、その時はそれに乗っかるだけで儲けることができる一番の儲け時。売られている場合は、機関が売り切ったと考えらえる直前から買いを狙うのも良い。

第4章

・勝負するのは基本的には前場(午前中)であり、特に重要なのは一番値が動く朝9時から9時20分くらいの間。

・長期投資は難しい。著名アナリスト数百人の長期予想の結果でも、正解率が約49%と半々くらい。今売られているか買われているかは板を見ていればわかるため、その事実がわかる優位性に張った方が良い。

・値動きがわかりやすく、ボラティリティの高い銘柄に大きく突っ込むのが最も効率が良いので、基本スタイルはそこにある。

・毎日相場全体の地合いを見ながら、場が大きく動くタイミングを逃さない。日銀や米大統領が動くなど、異変を常に探して大きく勝つ。

・リスクを取って大きく勝つのではなく、安定して利回りを取るなら、米ドル建ての利回りが高くて潰れなさそうな社債分散投資する。そうすれば全体として5%くらいの利回りが取れる。0.1~0.2%でドル円の為替リスクもヘッジできる。

第5章

・勝ち負けの結果より、プロセスとして適切な勝負、つまり勝てる確率が高い勝負ができているかの方が大事。

・自分にはない考えや新しい戦術に出会ったら、しっかり話を聞いたり調べる。数学的に正しいだろうと判断できれば即採用し、柔軟に変化していく。

第6章

・割安とか割高とか、将来伸びるはずだとか、そういった要素は自分が勝手に思い込んでいるに過ぎない。勝っている人ほど、短期の値動き、チャートや指数組み入れなどの理由がある株を買っている。今わかっている優位性に張るのである。

後場がギャップダウンして始まるときには、売る可能性が相当高い。

第7章

・何か事件や問題が起こって大きな下げ気配になると、損失回避のヘッジ売りが入ることが多いが、特に出来高が少ない時間帯は、恐怖を反映して大きく売られ過ぎる傾向にある。損失回避の売りは、出来高が少ない相場が始まる直前に最大になることも多い。

・大手の会社は危なそうだと損失を限定化させる動きをする傾向にあり、日経平均先物等を機械的に売ってくる。そこをタイミングを見計らって買うこともできる。

・恐怖を感じるときに人は視野が狭くなり、短絡的な行動に走りがちになる。場を冷静に見ることができれば、逆の行動を取るなどして大きな勝負に出ることができる。ただし、ピンチとチャンスは紙一重。大きく稼ぐチャンスが、大敗につながることもあるので注意。

・急な下落に巻き込まれるなどして大きく含み損を抱えたとき、損したことを考えるのではなく、ここからどうすれば儲かるかを考えてみる。(ただし、答えのないまま無理するとさらに損するので、それくらいなら大人しく損切り

・億を稼いでいるような人は概して攻撃型。とにかく獲物につっこんでかっさらう。ジェイコム株誤発注のような事件の際に、異変に気付きながら買えていない人は投資の世界ではあまり生き残っていない。投資家としては、判断して行動するのが早いほうが適正があり、早い人はいつでも早く、遅い人はいつでも遅い。

・50~100万円の予算で相場を始めるなら、IPO銘柄のボラティリティが高いやつを買って、ダメそうならすぐに損切りし、上がっている最中は持っておくスタイルのデイトレがいい。

・不況時に赤字会社への長期投資をやってみるのも手である。選ぶのは、ギリギリ黒字ではなく赤字に転落している会社であること。そういう時に証券アナリストは、「業績が悪いので売り」と言うが、そういう会社は好況になって黒字になると、手の平を返したように株価が上がることが多い。ただし、潰れてしまってはダメなので、潰れなさそうな会社であること。

・逆に、好況時に長期投資はしない方が良い。景気は循環するから、全体の株価が上がってきて、アナリストが勧めているときには伸びしろが無くなっている可能性が高い。

JAL東芝東京電力など、規模の大きな会社だが、上場廃止になってしまいそうな状況に追い込まれている会社は狙い目。マーケットはリスクを回避する傾向が強く、危ないと思われたら必要以上に売られるので、危機を脱したときには10倍や20倍のリターンもあり得る。上場廃止までいかなくても、東証1部から転落したり、日経225から外されたりした後に復帰すると、それだけで買われる。

・何らかのトラブルは起きているが、企業の本質的な価値は変わらないのに、空気だけで大きく下げている場合にはチャンスになる。

・同じものでも値段の差が出てくる場合がある。例えば、ビットコインにおける現物の取引価格とレバレッジの取引価格。レバレッジ価格の方が26%も高いこともあり、高い方で売り、安い方で買うだけで儲けられたこともあった。日本と海外のビットコインで価格差が生まれることもある。こういう状況は、多くのプレイヤーが場を冷静に見られていないからであり、そんな中で冷静に見られれば「優位性」が生まれる。

・努力とリターンのスパイラルというものは存在する。勉強すれば勝つ。勝つと気分がいいからさらに勉強する。するとますます上達して、さらに勝つ。これは勝負事に限らず、幅広く見られる法則である。

まとめ

本書には、簡単には真似できないことも多いが、投資をする人やこれから始めたい人には参考になる内容が多い。そして、ここでは一切紹介しなかったが、著者の幼少~学生時代の話も面白い。やはり、変わっている。相場で大成功する人間は、小さい頃から考えることや経験することも違うとあらためて感じる。本書は200ページあるが、非常に読みやすく書かれているため、サッと読めてしまう点も良い。興味がある方は、ぜひ手に取っていただきたい。