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【書評・要約】『マネーの公理 ~スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール~』 マックス・ギュンター著


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『マネーの公理 ~スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール~』

 

 本書の紹介

【基本情報】

題名:マネーの公理 ~スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール~

著者:マックス・ギュンター

頁数:256p

出版社:株式会社日経BP

発売日:2005/12/26

 

【概要】※「Google Books」より

英国で1976年に出版され、ウォール街で密かにロングセラーになっている「投機の教科書」。かつて金融界で名を知られたスイスの金融マフィア「チューリッヒの小鬼たち」による儲けの掟を初めて明文化した。リスクを巧みにコントロールしながら資産を積み上げるためのノウハウと教訓を凝縮。個人投資家の間で圧倒的な人気を誇るカリスマトレーダー、ラリー・ウィリアムズ氏も、「一度読んだら絶対に薦めたくなる」と絶賛する。投資家のみならず、これから社会に出て資産を形成しようという人、あるいは定年後の資産管理を考えている人にも、ぜひ読んでいただきたい「お金の教科書」である。

本書のポイント

スイスは、国土が小さく、海に面しておらず、鉱物資源も乏しい。しかし、スイスの一人当たりの所得は世界でも最上位クラスであり、スイス・フランは世界でも最も安全でリスクが低い通貨の一つである。なぜスイスはこんなにも繁栄したのか。それは、スイス人が、世界で最も賢い投資家、投機家、ギャンブラーであったからである。私たちもスイス人のように、合理的にリスクが取れるようになるため、本書では、スイス人のマネーの約束事である「チューリッヒの公理」を学ぶことができる。次からは、その公理のそれぞれについて、少しずつ紹介していきたい。

第一の公理 リスクについて

・人の資産づくりに向けるエネルギーは、半分は仕事に、残り半分は投資や投機に回されるべきである。

・大多数を占める人間が金持ちになるための方法は、リスクを取ること。リスクを取れば損失を被る可能性もあるが、金持ちになろうとして多少今より貧乏になっても大きな差はない。逆に、金持ちになる、上にいく余地の方が大きいはずであるから、多少の冒険はしてみるべきである。

・すべての投資は投機である。どんなに優良と言われている銘柄でも、リスクが存在しないということはあり得ない。リスクを取る以上、自分が投機家であることを認めるべきである。

・いつも意味のある勝負をすること。失っても気にならない金額だけを賭けるのは、たしかに失敗してもダメージは少ないが、倍になっても金持ちになることもない。金持ちになることを望むなら、勝負に出ること。負ければ破産するような金額を賭けろということではないが、傷つくことを恐れ過ぎてはいけない。少しでもいいから、心配になるような金額を賭ける必要がある。たとえ損失を出しても世界が終わるわけではない。お金をかき集めて、再び挑戦すればいい。

分散投資には三つの大きな欠陥がある。一つ目は、各投機が小さくなり、意味のある勝負ができないこと。二つ目は、各投機が利益と損失を相殺し合ってしまうこと。三つ目は、扱う対象が増える分、より多くの時間と勉強が必要になるし、有事にパニックになって動けなくなってしまうこと。以上のように、分散投資には問題もあるので、分散することを選ぶとしても3つか4つまでにする。

第二の公理 強欲について

・ギャンブルや投機をしていると、時々大きな幸運が訪れる。それはもちろん続くものではないのだが、強欲にとらわれてしまうと、それがもう少しだけ続くと根拠なく信じ込んでしまう。そして最後には結局転げ落ち、お金は消え失せる。そうならないように、あらかじめ適当な利益の目標を決め、当初の目標に達したら利益確定して立ち去るべきである。難しいことだが、強欲に支配されることなく、自分でゴールを決めないといけない。

・当然、利益確定した後も対象の銘柄は伸び続け、後悔することもある。しかし、根拠なくピークがまだ先だと考えることで、転げ落ちてしまうよりましである。ピークがわからないなら、ピークは近いと考えなければならない。自分の強欲をコントロールすることは、長い目で見ればより大きな儲けにつながるのである。

・もちろん、状況が単なる少しの変化ではなく激変し、勝ち目が続くことが期待ではなく、ほぼ間違いないという確信がある場合は話が変わってくる。あくまで確信がある場合であり、少しでも自信がないなら、やはり予定どおりゴールすべきである。

第三の公理 希望について

・多くの投資家が他のどんな失敗よりも多大なコストを被るのは、下落しつつある投資対象から離れることができなかったときである。自分が不利な状況のとき、アマチュアのギャンブラーは状況が好転することをただ祈るという典型的な負け犬の行動に出るが、プロは不利な状況から抜け出すために行動できる。「乗った船が沈み始めたら、祈らず飛び降りる」のである。

・行動するのは、「船が沈み始めたら」である。半分が水に浸かるまで待ってはいけない。異変を察知したら、すぐに何が起こっているのか周りを見渡し、起こりつつある問題が改善すると考えられる、信頼できる証拠があるか確認する。それが確認できないなら、手遅れになる前に飛び降りて自分を救うのである。

・具体的には、株価が自分の保有している間につけた最高値から10~15%下落したら、その時点で含み益・含み損に関わらず売却するべきである。

・下落を確認して降りた後、株価が反転して後悔することもある。これは避けられないことだが、相場の急激な反転は頻繁には起こらない。投機対象の価格が急落する場合、その原因は長期にわたる問題になりがちで、その問題は徐々に発展し、徐々に解消される。よって、たいてい正しい選択は、価格が明らかに下落し始めたときに逃げ出すことである。放置してしまえば、大きな下落に巻き込まれるだけでなく、他の活発な投資で利益を追い求める機会も失うこととなる。

・小さな損失は人生の現実、必要経費と考える。それは投機のコストの一部であり、生活でいうところの税金や電気代と同じで避けられないものである。大きな利益を待つ間には、何度かそういう経験をする必要があると考えること。

第四の公理 予測について

エコノミストなどの金融の賢人とされる人々であっても、実際は誰にも、この先どうなっていくかはわからない。もちろん彼らが正しいこともあるが、間違うことも多い。よって投機家として成功したいのであれば、人の予想を鵜呑みにする習慣から抜け出さないといけない。

・あまりに有名な者、力のある者の予想や発言がそのとおりになることがあったが、それはその者が「株価が下がる」と言えば、それを聞いた者が恐れ、売るから株価が下がったまでのことである。この影響は、実際の流れと異なる場合、結局は一時的なものとなるし、どんな有力者の発言もそのとおりにならないこともある。

・予測に基づいて投機を行ってはいけない。成功する投機家は、おそらく起こるであろうことについて行動するのではなく、起こったことに反応する。現時点で実際に起こりつつある、目の当たりにすることができる出来事にすぐに反応すること。このことを基本に投機を考えるべきである。

第五の公理 パターンについて

・誰もが市場の中に、パターンや公式を見出そうとするが、残念ながらそのようなものは存在しない。もし確実なパターンを見出したと感じてもそれは幻想であり、それを疑うことなく過信してしまうことで、大きく転がり落ちることにもなり得る。お金をめぐる環境は変化する。ある時にうまくいったり、ある人がうまくいったパターンでも、自分が同じようにうまくいくとは限らない。市場のカオスの中に、はっきりとパターンが見えると主張する投資アドバイザーほど疑ってかかるべきである。

・投機の成功や失敗において、最も強力な要因は「運」である。チューリッヒの公理は、そのことを前提としている。

・「歴史は繰り返す」という根拠のない考えも危険である。ときには歴史が繰り返すこともあるが、繰り返さないことも多いので、大きくお金を賭けられるほど歴史は信頼できない。

・チャートの中にパターンを見ることも危険である。たしかに似たパターンのチャートが繰り返すこともあるが、それはあくまで偶然であり、必然ではない。信頼を置き過ぎるのは問題である。

・常にカオスを相手にしていることを理解し、立てた仮定のとおりのことが起こったり、パターンがあるように見えても、確固たる証拠がない限りはその仮定やパターンを最大限疑ってかかるべきであり、それは偶然の結果であると考えるべきである。投機対象をよく研究し、勝利への可能性が高まったとしても、警戒する姿勢を持ち続け、何か起こったときのためにフットワークを軽くし、大きく傷つくことを避けないといけない。

第六の公理 機動力について

・より有望な投機先を見つけたら、現在の投機をただちに中断し、その魅力的な投機先に投機するべきである。どの投機先で利益が出ようが、同じお金である。変な執着によって、希望の薄い投機先に留まってはいけない。

・当然、投機先を乗り換えることで後悔することもある。しかし、後悔する可能性があるのは何をする場合でも同じである。よって、判断の基準は、早く利益を得るためにはどの投機先が有利であるかということにのみ置かれるべきであり、勝算を慎重に評価したうえで最適なチャンスが横たわっているように見えたら、すぐに決断してそれに向かうべきなのである。

第七の公理について 直観について

・投機に関する直観を感じたら、軽視も妄信もせず、注目に値するかどうかの識別をすること。まずするべきは、その直感に関する知識が自分に十分にあるかを自問することである。投機対象について十分研究したか、業界や経済動向との相関関係についてまで多くの知識を吸収してきたか、その直感について説明できるか。その自問に「イエス」と答えられるなら、感じた直観が当たる可能性は高まるが、「ノー」なら無視すべきである。

・自分が起こってほしいことが起こるという直観に対しては、いつもの倍は警戒すべきであり、反対に自分が望まない結果を示唆する直観は信頼に値する。

第九の公理 楽観と悲観について

・アマチュアは楽観してしまうところがある。楽観した結果、たまに勝ってしまうことで楽観し続け、最終的にカモになる。プロは楽観を持ち過ぎず、持っているのは自信である。自信は、最悪に対処する術を知ることから生まれる。運がないときに状況が好転することを期待するのではなく、分別よく行動する準備があるから自信があるのである。

・投機の世界では、見えるほど悪くないことよりも、見える以上に悪いことのほうが多い。よって、投機において楽観は危険であり、事態が悪く見えるときは、本当に悪いと考えるほうが安全なのである。

・人生は楽観なしに生きられないし、投機も楽観なしにはできないが、コントロールが効かなくなると、金銭的な悲運につながってしまう。

第十の公理 コンセンサスについて

・「我思う、故に我あり」で有名なデカルトは、ギャンブルについても熱心に研究し、かなり儲けていた。デカルトが言ったギャンブルに勝つ秘訣は、「自分自身で納得するまで他人の意見を無視する」というものである。彼は、「難しい問題に関する真実は、多くの人によってよりも、数少ない人によって発見されてきた」と言って、一般的に知られるノウハウを徹底的に疑い、自分自身の真実を確立することにこだわって、慎重にギャンブルについて研究していた。

・現在の民主的な世の中では、大多数の意見を謙虚に受け入れることが求められるが、投機においては高くつくことになるかもしれない。多くの人は正しいかもしれないが、正しくない可能性も高い。大多数の人が金持ちでないことがそれを証明している。投機を成功させるには、多数派の主張が真実であると推測する習慣から抜け出さないといけない。自分で考え、結論を出すのである。

・大多数の意見の圧力は、何に投資するか、いつ投資するかを決める際にも大きな影響がある。株式を買うべきタイミングは、株価が安いときであり、売るべきタイミングは株価が高いときである。とてもシンプルな考えであるはずだが、大多数が求め、株価が高騰しているときに買ってしまい、大多数が恐れて手放し、株価が下落しているときに売ってしまって損をしてしまうことがある。投機の流行を追ってはいけない。売買する最高のときは、誰もそれを望まないときなのである。

・新米投資家は、大多数の圧力に押し流されていると自覚することなく振り回されてしまう。それに対する最適な防衛策は、その存在と力を認識しておくこと。そして、何か決定を下す際には、「この決定は賢いからか、それとも皆が賢いと言っているからか」と自問することである。

・国の経済や株式市場が崩れ、景気が後退する局面においては、人々は黄金の金属である金が財産の避難先のように感じて欲しがるため、金相場が高騰する傾向がある。しかし、このようなときにこそ、金を売り込もうとする圧力がピークに達するときでもあるため、皆と同じ行動を取ることに対して最も慎重になるべきなのである。

・常に大多数と反対のことをするべき、ということではない。当然、大多数が正しいこともある。大多数とともに進む場合も、反対に進む場合も、自分の頭で十分考えて研究したかどうかが重要なのである。

第十一の公理 執着について

ナンピン買いで悪い投資を何とかしようとしてはいけない。ナンピン買いは、運があればうまくいって魅力を持つが、運用状況を一層悪くすることが多い。株価が下落したことには気づいていない理由があるのである。ナンピン買いをしたくなったときには、「もし現在この株を持っていなかった場合、他の株を差し置いてでも買うだろうか」と自問する。答えが「ノー」ならナンピンしてはいけないし、「イエス」と感じられても、ただの自分の希望的観測になっていないかに注意しないといけない。

第十二の公理 計画について

・長期計画を立て、それを信じ込んでしまってはいけない。計画を立てる際には、この先のことが現在の傾向の延長線上にあるものと考えてしまうが、そうとは限らない。まったく新しい傾向が現れ、好況や恐慌、激変、戦争、破壊、崩壊等、夢にも思わなかった現象が起こるかもしれない。チャンスが見えたらそれに向かって進み、危険が見えたら逃げる。知ることのできない先の出来事に対処するため、長期計画に落ち着くのではなく、フットワークを軽くしておくべきである。

・長期投資をしてはいけない。明日に賭けることだけでも十分リスクがあるのに、数十年後のある日に賭けることなど完全に狂っていると言える。すべての投資は、少なくとも三か月ごとに再評価し、継続すべきかどうかを確認しないといけない。この投資を今初めて行うとしてもお金を投じるか、当初設定した目標金額に順調に向かっているか、他により有望な投資先はないか、などについて確認するのである。

まとめ

本書で紹介されているチューリッヒの公理は、十二の公理と十六の副公理から成っている。これらの公理は、スイスの銀行界や投機筋の仲間うちで暗黙のうちに了解されていたものを、著者の父やその仲間がルールを分類し、解明したものである。私は本書を読んでみて、多くの人々を金持ちにしてきたこのチューリッヒの公理は、現在もなお、非常に参考になるものであると感じた。概要は紹介したが、紹介したのは250ページ以上ある本書の一部に過ぎないので、投資を通じて資産を増やしていきたいと考えている方はぜひ手に取っていただき、何度でも読むことをおすすめしたい。