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【書評・要約】『バカでも稼げる「米国株」高配当投資』 バフェット太郎 著


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『バカでも稼げる「米国株」高配当投資』

 

 本書の紹介

【基本情報】

題名:バカでも稼げる「米国株」高配当投資

著者:バフェット太郎

頁数:208p

出版社:ぱる出版

発売日:2018/4/28

 

【概要】※「Google Books」より

英語力ゼロ、知識ゼロでも10万円からスタート。月3分のチェックで2年で1000万円!けっこー地味...でもローリスクにお金持ちになる投資法。

 

本書のポイント

本書では、「米国の超大型優良連続増配高配当株に投資して配当を再投資」することで資産を簡単かつローリスクで増やす方法を解説している。以下、ポイントを見ていきたい。

資産を増やしたいなら株式に投資せよ

投資対象としてよく知られているものに、「債権」や「株式」がある。「債権」は基本的に元本が保証されており、比較的安全な投資対象であるが、リターンは少ない。それに対して「株式」は、「債権」に比べるとより大きなリターンが期待できるが、元本の保証はなくリスクを伴う。さて、どちらに投資する方が成功しやすいのだろうか。

この疑問についてはすでに過去200年の記録が調べられて答えが出ており、いつの時代もある程度長期投資をするのであれば、「債権」よりも「株式」の方がリターンが大きいということがわかっている。今後もこの傾向は続くだろうと言われていることから、資産を増やすならば「株式」投資をすべきなのである。

ただし、「株式」は変動が大きく、一時的には暴落を記録することもある。よって、そんなときでも比較的安定感のあるディフェンシブ銘柄に投資することが勧められている。ディフェンシブ銘柄とは、生活必需品、公益、通信、ヘルスケアなど、景気動向に左右されにくい安定した銘柄のことである。

なぜ米国株なのか

25年以上連続で増配をしている企業は「米国で100社以上、日本は花王の1社のみ」である。米国の大企業は、100年に一度の金融危機でも増配できるほど、参入障壁が高く競争優位性があり、圧倒的なネットワーク効果と市場シェアを有し、高い営業利益率を誇っているため、日本企業のように簡単に減配する心配は少ない。よって、今後も日本株ではなく、米国株に期待して投資する方が賢明なのである。

なぜ超大型優良連続増配高配当株の配当再投資をするのか

最近では、S&P500に連動したインデックスファンドやETFを利用したパッシブ運用が一番賢い資産運用方法であるとされているが、これらにも弱点はある。S&P500種指数は時価総額の高い大型株の割合が大きくなるようにデザインされているため、S&P500ETFを買うということは、2017年現在時価総額上位銘柄であるFAAMG株を多く買うことになる。FAAMG株はすべてハイテクセクターであるためセクターの分散投資ができておらず、ハイテクセクターの株価変動に大きく振り回されてしまうリスクがある。また、S&P500ETFへの投資は、相場の上昇が前提となっているため、弱気相場が続けばパフォーマンスは上がらない。

一方、超大型優良連続増配高配当株の配当再投資は、特定のセクターの株価変動に大きく振り回されることなく、弱気相場でも増える配当を再投資することで、より多くの株数を得ることができ、いざ強気相場に変わった時にリターンを爆発させることができる。ただし、この先ずっと強気相場が続くなんてことが起こった場合は、素直にS&P500に投資した方がパフォーマンスが良かったということになるので注意する。

超大型優良連続増配高配当個別銘柄による分散投資の方法

まず、分散投資は8~16銘柄にする。それより少ないと分散効果が薄くリスクが高まり、多いと分散し過ぎによって管理できなくなる。

選ぶ個別銘柄は、営業キャッシュフローが毎年黒字で着実に増えていることが理想。企業は手元にお金がなくなると倒産してしまうため、売上高だけを見るのではなく、様々なコストを引いて手元に残ったお金を示す営業キャッシュフローが極めて重要な指標になる。また、営業キャッシュフローを売上高で割って求める営業キャッシュフローマージンが15%以上であると、一般的に競争優位性が高い企業と言える。ただし、セクターによって数値の平均が変わるため、セクター分散した上で同業他社より営業キャッシュフローマージンが高い銘柄を選ぶことが重要となる。

さらに、連続増配実績が20年以上あるか、20年未満でも、事業の競争優位性の高さを背景に安定した配当が期待できるかどうか、に注目して銘柄を選定する。

景気循環別おすすめ銘柄

景気は「好況」→「後退」→「不況」→「回復」と循環しており、それぞれの景気局面に強いセクターが存在する。具体的には次のとおり。

「好況」・・・資本財株、一般消費材・サービス株、素材株

「後退」・・・エネルギー株

「不況」・・・生活必需品株、ヘルスケア株、通信株、公益株

「回復」・・・ハイテク株、金融株

分散投資する際は、これらの景気循環別に強いセクターをバランス良く選ぶことで、どの景気局面でも対応できるようにする。より保守的に資産を増やしたい場合は「不況」に強いセクターの割合を増やすと良い。

簡単なルールに従うロボット投資家になろう

世の中には相場の変化に柔軟に対応して成功する人もいるが、それは非常に稀な例であり、一種のまぐれである。着実に高確率で成功するためには、自分の勘に頼って投資するのではなく、「毎月末に10万円分、ポートフォリオ全体に占める割合の一番低い銘柄を買い増す」等、一貫性を持った明確な投資ルールを作り、ロボットのように機械的に投資を実行することが必要となる。一時的に含み損が出ても、長期的に見れば投資タイミングがパフォーマンスに与える影響はほとんどないため、ルールを作らないことで迷っていつまでも投資できない方が問題となるのである。

まとめ

S&P500に連動するインデックスファンドやETFへの投資をおすすめする書籍が多い中、本書は超大型優良連続増配高配当株の配当再投資によって利益を得て、S&P500を上回るパフォーマンスを実現することを目指している。著者の主張は非常に理にかなっており、今後の相場の動向によってはそのとおりになる可能性もあると考えられる。未来について確実なことは誰もわからないが、「とりあえずS&P500を・・・」と考えている方は、最終的に何を選択するにしても著者の考えは大いに参考になるであろう。